1946年から石けんの製造を始めた松山油脂。日本国内では、1950年代以降、合成洗剤がさかんにつくられるようになりましたが、松山油脂は設備投資の面から石けんをつくり続けていました。その「昔ながらの釜焚き製法」に光を当て、合成界面活性剤・鉱物油・香料・着色料・防腐剤無添加でつくったのが「無添加せっけん」。Mマークシリーズの始まりです。

「無添加せっけん」だけでは店頭でお客様に訴える力がない。そこで、固形石けんに「塩入せっけん」を加えるとともに、原料油脂を牛脂・ヤシ油からパーム核油・べに花油に、アルカリ剤を苛性ソーダから苛性カリに変え、釜焚き液体石けんを製造。「無添加ボディソープ」「塩入りボディソープ」「シソの葉ハンドソープ」(いずれも販売終了)、「台所用液体せっけん」をラインアップに加えました。

「頭皮によいらしい」「肌にやさしいと聞いた」と関心は高いのに、きしみ・ごわつきのために「使えない」と言う人が多い石けんシャンプー。そこで、アルカリ剤として塩基性アミノ酸(L-アルギニン)が使われ、ふつうの石けんよりpHが低いアミノ酸石けん配合の「アミノ酸せっけんシャンプー」を発売。「これなら使える」とご支持をいただきました。

角質層にもともと存在する天然保湿因子に着目。「必要なものを過不足なく補う」という発想から、季節や加齢の影響で減りやすい天然保湿因子、アミノ酸とPCAナトリウムを保湿成分にした「アミノ酸スキンケア」を発売。松山油脂が石けん専業の町工場からスキンケアメーカーに変わるきっかけになると同時に、ロングセラー製品に成長しました。

製品を知っていただくようになり、出荷数も大幅増。手狭になった墨田工場から、富士山の北の麓、富士河口湖工場へ一部の機能を移転。機械練り石けん、透明石けん、そしてスキンケア製品をすべてつくるようになりました。工場建設と同時に、地下200メートルの深井戸を掘削。富士山の伏流水をスキンケア製品の原料にしています。

2005年の発売以来、皆様のご支持をいただいてきた「柚子(ゆず)ボディローション」。2015年頃から出荷数が急増しました。肌にすんなりとなじみ、角質層内はしっとり、肌の表面はさらっと保つ使用感に加え、柚子果皮精油の香り、本物の柚子の香りを使い続けた結果が出ました。人気はSNSを通して海外にも波及しました。

2015年頃を境に「柚子(ゆず)ボディローション」が国内外で大反響！　質の高い柚子果皮精油を安定的に入手すべく、 柑橘の特産地・徳島県佐那河内村に柚子やすだちなど、和柑橘の自社農園をつくりました。抽出機械を輸入してカスタ マイズ。「丸ごと皮削り®」という、香りを損なわない独自製法で、 柚子果皮精油を自社抽出できるようになりました。