昔ながらの釜焚き製法で石けんをつくっているのが釜場です。鹸化・塩析・静置・仕上げ塩析という工程を踏み、仕上がりまでに百時間かけています。
原料の油脂を釜に入れ、加熱・攪拌しながら苛性ソーダの水溶液を加えます。すると、油脂は加水分解されて脂肪酸とグリセリンに分かれ、脂肪酸が苛性ソーダと反応して石けんになります。これが鹸化(けんか)です。その後、食塩を加えて石けんの分子を釜の上層に集め、不純物を沈殿させる塩析(えんせき)をします。塩析の後は釜を保温して、石けんの純度が高まるのを待ちます(静置[せいち])。24時間後、再び塩析をし、「石けん素地」に仕上げています。
松山油脂の石けん素地の純度は98%。残りの2%のうち、1.2~1.7%はグリセリンです。最も古い保湿剤といわれ、つっぱり感を和らげるグリセリンが自然に溶け込んでいる。また、油脂を釜で焚き上げると、人の肌に適した洗浄力の石けんになる。それが釜焚き石けんの大きな特長です。だから私たちは、伝統の製法を70年以上受け継いでいるのです。