足を踏み外したら深い谷底まで転げ落ちそうな、急峻な東斜面にぴったりと貼りつく畑。さえぎるものは何もなく、光が降り注ぎ、空気が澄みわたる。それが標高400メートルの山の上、「天空の黄色柚子」の中村農園です。
中村農園は有機JAS認証を取得されています。同じく取得を目指す山神果樹薬草園にとっては先生のような存在です。中村農園では、除草剤や化学肥料の代わりに、木々の下にナギナタガヤという草を生やしています。枯れると自然に倒れて地面を覆い、雑草がはびこるのを防いでくれるほか、害虫の天敵となるテントウムシなどのすみかとなり、最後には緑肥となって微生物に分解され、土を豊かにします。収穫近くなって病虫害が発生した時に限り、最小限の農薬を使うこともありますが、それも有機栽培で認められている天然物由来のものです。草、土、虫、微生物。自然の力を借りて、安心の柚子が実る環境をつくっています。
中村農園では、柚子のジュレやシロップの販売もしていますが、園主・中村さんの一番のやりがいは「柚子玉」(柚子の実)をお客様に届けることだそうですが、しかし、細やかな気配り、作業が必要な有機JAS認証の柚子栽培をしながらでは、なかなか販路を広げられません。そこで、季節になると山神果樹薬草園でも、中村さんの「天空の黄色柚子」を販売しています。
農園は昼夜の寒暖差が大きく、急斜面であるために土の水はけが良好です。有機肥料もたっぷりと施しているので、果肉がみっしりとみずみずしい柚子玉が実ります。さわやかな香りと凝縮した酸味をお楽しみください。